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革新と伝統が紡ぐ、世界への道 受賞が証明した賀茂鶴の技術力 賀茂鶴酒造株式会社(広島県東広島市西条)

[投稿日]2026年03月31日 / [最終更新日]2026年4月6日

酒都・西条の名門が、世界の頂点へ

東広島市西条。「酒都」と呼ばれるこの町には、赤瓦の煙突が立ち並ぶ酒蔵の町並みが広がります。その中心に、明治6年(1873年)創業の賀茂鶴酒造があります。

150年以上にわたり、西条の酒造りを牽引してきた名門蔵。その歴史は、常に「革新」と共にありました。そして今、受賞という形で、その技術力が世界に認められています。

2025年、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)SAKE部門において、「スパークリング日本酒 賀茂鶴光壽(かもつるこうじゅ)」がスパークリング部門で、最上位の賞となる「トロフィー」を受賞。この快挙により、世界酒蔵ランキングは50位から28位へと大きくジャンプアップしました。

古くから革新を続けてきた蔵が、なぜ今、世界から注目されるのか。そこには、受賞が開いた新たな可能性と、150年の歴史が積み重ねてきた信頼の物語がありました。

明治から始まった革新の歴史

賀茂鶴酒造の歴史は、常に「時代の先」を見据えてきました。
1873年(明治6年)、木村和平氏が酒造りを開始。木村酒造として酒銘を「賀茂鶴」と命名し、販売を開始しました。しかし、賀茂鶴の真の革新は、2代目・木村静彦氏の時代から始まります。

1898年(明治31年)――日本初の動力精米機導入

木村和平氏は、同じ西条で機械製作会社を営んでいた佐竹利市氏(現・㈱サタケ創業者)に依頼し、二代目・静彦氏の時代に日本初となる動力精米機を完成・導入しました。
精米技術を飛躍的に高めたこの挑戦に、安芸津町の三浦仙三郎が確立した軟水醸造法、そしてその技術を受け継ぎ西条で磨かれていった酒造りが融合し、「吟醸酒」の原点が形づくられていきました。

1900年(明治33年)――パリ万国大博覧会で名誉大賞

さらに木村静彦氏は海外に目を向けました。1896年(明治29年)のハワイ輸出を皮切りに、1900年にはフランス・パリの「万国大博覧会」で名誉大賞を受賞。台湾、韓国、中国などにも出荷し、日本酒の海外進出における先駆者となりました。

1917年(大正6年)――全国酒類品評会で名誉賞

大蔵省主管日本醸造協会主催第6回全国酒類品評会において、全国最初の名誉賞を受賞。その翌年、1918年(大正7年)に賀茂鶴酒造株式会社を設立しました。

1921年(大正10年)――協会5号酵母の誕生

大蔵省主管日本醸造協会主催第8回全国酒類品表会において、出品した酒が4,222店中1位から3位までを独占するという快挙。この成果により、賀茂鶴酵母の優秀性が認められ、5番目の「協会酵母」として各地の蔵に頒布されていきました。(現在、5号以前の酵母は頒布されておらず、6号から頒布されています。)
賀茂鶴は、近代日本酒の歴史とともに歩んできた蔵なのです。

IWCという新たな舞台

歴史ある賀茂鶴がIWCに出品を始めたのは、SAKE部門が新設された2007年の翌年、2008年からでした。
国内の品評会では日本酒としての完成度が問われますが、IWCでは異なります。世界の中の日本酒の現在の位置づけを知り、日本酒という枠にとどまらず、ワイン文化が根付くヨーロッパの地で、日本酒としての官能評価を受けとめる。―グローバルな視点での評価こそ、賀茂鶴が求めたものでした。

2008年――古酒部門トロフィー

IWC出品初年度、「純米吟醸 八年秘蔵 熟成酒」が古酒部門でトロフィーを受賞。長期熟成という賀茂鶴の技術力が、世界に認められた瞬間でした。

2011年――2部門でゴールドメダル

古酒部門で再び「純米吟醸 八年秘蔵 熟成酒」が、吟醸酒・大吟醸酒部門で「大吟醸双鶴賀茂鶴(そうかくかもつる)」がゴールドメダルを受賞。賀茂鶴の酒造りの幅広さが証明されました。
そして、2025年――新たな挑戦が実を結びます。

5年の開発が生んだ、光壽の奇跡


「スパークリング日本酒 賀茂鶴光壽(かもつるこうじゅ)」が、スパークリング部門で唯一1銘柄のみに贈られる最上位賞であるトロフィーを受賞しました。
この受賞のニュースは、2025年10月8日付の中国新聞に掲載され、大きな反響を呼びました。
「光壽」の開発には、5年以上の歳月がかかりました。目指したのは、米の旨みを感じながらも、雑味のない、澄んだ味わい。
広島県産山田錦を精米歩合28%まで磨き込み、極限レベルまで雑味の元を取り除きました。これは、明治時代に日本初の動力精米機を導入以来、自社精米にこだわってきた賀茂鶴だからこそ生まれたアイディアではないでしょうか。

瓶内二次発酵を採用し、さらに、スパークリングワインの製造にも使用されている機器を新たに導入。滓を除去する作業のための施設も作りました。
瓶口に集められた澱を取り除き、目視で仕上がりを整える作業は、何より手間がかかります。仕込みから瓶内二次発酵まで一貫して低温で行うことで、日本酒らしい米の旨味を閉じ込め、果実のような香りとさわやかな酸味を実現。瓶内二次発酵によるきめ細やかな泡立ちが心地よい、伝統の大吟醸製法と特許製法を引き継いだ新たな味わいが誕生しました。
これまでも瓶内発酵による清酒を手がけてきましたが、これほど高い発泡性を実現したスパークリング日本酒は、今回が初めての挑戦でした。新たな挑戦。そして、その挑戦が世界最高峰の評価を得たのです。

受賞が開いた、新たな可能性

「光壽」のトロフィー受賞後、問い合わせが相次ぎ、IWCのメダルロゴを商品の販促に活用。受賞という客観的評価が、ブランド価値を高めました。
海外市場においても、変化が見られます。国によってばらつきはありますが、和食のレベルの向上とあわせて日本酒も着実に浸透してきており、今後さらなるマーケットの拡大は充分に期待できると考えられています。
明治時代からハワイ、パリと海外に目を向けてきた賀茂鶴。その伝統が、IWC受賞という形で新たな展開を迎えています。

酒都・西条の誇り

西条は、日本三大銘醸地の一つとして知られる酒都です。赤瓦の煙突が立ち並ぶ酒蔵通り、精米機メーカー、そして日本唯一の酒類総合研究所――この町には、日本酒造りを支えるさまざまな条件がそろっています。
賀茂鶴は、その西条を代表する蔵として、常に技術革新を牽引してきました。日本初の動力精米機、協会5号酵母、そして最新のスパークリング日本酒。時代ごとに「新しい挑戦」を続け、その成果が受賞という形で証明されてきたのです。
「甘すぎず、辛すぎず、凛とした旨口でキレのある酒」――それが賀茂鶴の原点です。受け継がれてきた酒造りの技を今に伝え、さらに磨きあげ、香味バランスのとれた料理に寄り添い、心に寄り添った酒を目指しています。

2026年、IWC広島開催――酒都・西条から世界へ

2026年5月、IWC SAKE部門が広島で開催されます。国内では兵庫・山形・東京に続く4回目の開催となります。
西条という町には、日本酒造りの原点があります。龍王山からの清らかな伏流水。造賀地区で育まれた最高品質の酒米。精米機メーカー・サタケの本社。そして、日本唯一の国の酒に関する研究機関である酒類総合研究所。この町を訪れると、西条の日本酒がどのように生まれ、どのように進化してきたかを、すべて体感することができます。
「世界中の審査員が酒蔵通りを歩き、煙突の立ち並ぶ町並みを眺め、酒造りの現場を目の当たりにする。広島で育まれる日本酒の技術と伝統を、直接世界に伝えることのできる素晴らしい機会です。」と石井裕一郎社長は語ります。
さらに、この広島開催が、審査員と県民をつなぐイベントとなることも期待されています。日本酒を愛する人々が集い、語り合い、共に未来を描く。2026年は、西条の魅力、広島の日本酒文化を世界に発信する絶好の機会となります。

賀茂鶴を楽しむ

「スパークリング日本酒 賀茂鶴光壽」は、特別な日の乾杯にふさわしい華やかさを持ちながら、日本酒らしい米の旨味も感じられる逸品です。きめ細やかな泡立ち、果実のような香り、さわやかな酸味が、食卓を彩ります。

冷やして、シャンパングラスで。前菜やカルパッチョ、フルーツを使ったデザートとも好相性です。
そして、「特製ゴールド賀茂鶴」のような定番酒も忘れてはいけません。「甘すぎず、辛すぎず、凛とした旨口でキレのある酒」は、和食はもちろん、様々な料理に寄り添います。
明治から続く革新の歴史。受賞が証明した技術力。そして、世界へと広がる賀茂鶴の未来。酒都・西条の誇りを、ぜひその手で感じてください。

賀茂鶴酒造株式会社
〒739-0011 広島県東広島市西条本町4番31号
創業:1873年(明治6年)
代表銘柄:賀茂鶴

IWC「SAKE部門」主な受賞歴

※写真提供:賀茂鶴酒造株式会社

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